眼の中でカメラのレンズに相当する、本来透明な水晶体が濁ってきて、光がうまく通過できなくなったり、光が乱反射して網膜に鮮明な像が結べなくなり、視力が低下する病気です。物がかすんで見えたり、まぶしくなります。
最も多いのは加齢による加齢性白内障で、誰でも年をとるにつれ水晶体は濁ってきます。一種の老化現象ですから、高年齢になるほど濁りは強くなります。そのほかに、糖尿病、ぶどう膜炎、アトピー性皮膚炎などに合併するもの、外傷やステロイド使用によるもの、先天性のものなどがあり、若年でも発症することがあります。
点眼薬は進行を遅らせるものであり、症状を改善することはできません。白内障が進行して、日常生活に不自由を感じるようであれば、手術を行います。視力が0.7以下になって運転免許が更新ができない、仕事上支障を来すようになった、楽譜が見えなくなったなど、必要な視力は人それぞれです。
網膜の病気や緑内障の進行など、他の病気のために見づらくなっていることもあります。医師とよく相談して手術の時期を決めることをおすすめします。
点眼麻酔やテノン嚢下麻酔(結膜の下の部分)で手術ができ、痛みはほとんどありません。現在、ほとんどの手術は、超音波を用いて水晶体を破砕、吸引する方法で行い、残した前嚢と後嚢(ふくろ)の中に眼内レンズを挿入します。
水晶体の核が硬くなりすぎている場合、水晶体を支えるチン小帯が弱くなっている場合、すでに水晶体脱臼(位置がずれている)がある場合などには、違う手術方法を選ぶこともあります。
眼球を切開し、水晶体の前嚢を切り取ります。
水晶体の核と皮質を超音波で砕き、吸引して取り出す。後嚢とチン小帯は残します。
残った後嚢の中に、眼内レンズを挿入します。
白内障手術は、手術機器、眼内レンズの進歩とともに発展してきました。私は市立札幌病院勤務時、早くより、極小切開無縫合手術に取り組んできました。
当院では最新の手術機器を導入し患者様にやさしい極小切開での手術を提供します。手術室のクリーン度は、大学病院並みの「クラス10000」の洗浄度を保ち、HEPAフィルターにより埃や塵を除去する特別な換気システムで、感染予防をしっかり行っています。